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狂熱 5


奈々と再会したコンビニが見えた。
上機嫌の桜とのドライブはあっという間におわりを告げようとしている。
BSD47の寮と隣接するオフィスまで、眼と鼻の先。
桜はずっと喋っていた。

「あのコンビニで、奈々に再会したんですよ」原田が指をさす。
「あのガキ……」
「なんでそうなるんですか……」
「あのコンビニ、メンバーには利用しないようにと通達してるんです」
「ふっふふ、コンビニに行くのをですか……」

原田は鼻で笑う。コンビニに行くのはダメ。校則の厳しい学校でもありえない。

「噂になってるんですよ。ネットで……」
「どんな噂ですか……」
「このコンビニに、よくBSDメンバーが来ていると、まだ噂レベルですが」

鼻で笑った原田は真顔になる。メンバーたちの寮の最寄コンビニ。そんな噂になっても不思議なことではない。ほぼ全員のメンバーが利用してたらそうなる。

「なにかトラブルがあったんですか」
「ありません。だから、ここは利用しないようにとそれなのに、あのクソガキ……」

言葉はわるいが、桜の言ってることは正しい。なにかあってからでは遅い。

「今度逢ったら言っときます」
「ふふっ、でもしかたありませんね。オジサンに送ってもらった思い出の場所なので、ノスタルジーにでも浸ってのかもしれないですね。ふふっ、なんかかわいいですね」

奈々に原田は逢いたくなった。桜が、うれしいことを言ってくれる。

「あっ、原田さん、もうしわけないのですが、送ってもらいたいのはここではないんですよ」
「すみません。オフィスって言われたから、てっきり、どこまで送ればいいですか……」

原田も、早くここから離れたかった。奈々との思い出の場所なのに、車内にいるのは桜。ちがう気がする。

「港区の乃木坂までおねがいします」
「ここからだと、十五分くらいですね。詳しい住所わかりますか、ナビに登録しますので」
「少々お待ちを……」

桜はスマホを操作して、すぐに。

「港区乃木坂、番地は……」

原田は言われたとおり、ナビに登録した。

〔 目的地まで、十二分です 〕

原田は車を走らせる。港区の乃木坂まではナビなしでも行ける。

「そこには、べつのオフィスがあるんですか……」
「べつのではなく、あたらしいオフィスですね」
「桜さん、ほんとにBSDとは関係なくなるんですか……」
「えぇ、父の秘書も、ピコピコンですね」

そんなゲームがあった。小休止だと言ってるのだろう。

「麻衣がデビューするアイドルグループのためにですか……」
「えぇ、私が言いだしっぺですから、BSDに負けないアイドルグループをつくりたいと父に……」
「桜さんが……」
「えぇ」

原田は、はじめて訊いた。理由を知りたい。

「桜さん、同志と喧嘩したってことはないですよね」
「ふふっ、これからするんです」
「なにかあったんですか」
「BSD関連の企画に私が口をだす。結果をだしてるつもりですが、会長の秘書ごときがと、反発を招いてますので、黙らしてやろうかなと。なら、私がBSD47に負けないアイドルグループをつくりますと会長に断言しました」
「ふっふふ、同志はなんてって、そんなの訊く必要ないか、やってみろと、そうですね」
「えぇ、会長の秘書ごときがと言うボケどもは笑ってましたけどね。でもそれで俄然ファイトが湧きました。ふふっ……」
「桜さん、どこまで男前なんですか」
「ふふっ、よく言われます。原田さんもちろんですけど、私は、若輩者です。これからもご指導ご鞭撻の程どうかよろしくお願い申し上げます」

桜が暴力団の出所挨拶みたいなことを言うが、原田にできることは、媚薬を盛って手をだす。それくらいだ。

「私になにができるんですか……」
「ふふっ、麻衣を虜にしたように、ほかのメンバーもおねがいします」
「ふっふふ、なに言ってるんですか……」

メンバーにしたらいい迷惑だが、原田は胸が高鳴る。
しかし、いいのだろうかと思う。そんなアイドルグループが発足してファンがつくのだろうか、BSD47に負けない、そこまでのグループになるのだろうか。




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