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僥倖 18


結局原田は一睡もしなかった。
いやできなかった。
昨日、桜のオフィスでへんな時間に寝た。
それもあるが、元トップアイドルである敦子の寝顔を見ていたからもある。
敦子に知られたら、気もちわるいと言われそうだ。
何時か確かめるためスマホを見る。
六時をすぎたところ。
LINEが一件、桜からだ。麻衣のIDをおしえてくれている。
すぐにもLINEしたいが、敦子がいる。
それはできない。
もう一つのスマホを見る。
咲良からのLINEがあった。

〔 パピ、おやすみ 〕

その一時間後に、もう一件。

〔 もう寝ちゃったの?LINEほしかったな 〕

これも、すぐに返信したいが、タイムリーなやりとりがつづくのはと贅沢すぎるなやみ。
着信も一件あった。
麻友からだった。
奈々からの連絡はなかったが、さびしくはない。
元アイドルを抱いてる最中に現役アイドル二人からの連絡。
アイドル予備軍も連絡を欲しがっていた。
敦子が帰ったら、三人に連絡しようと決め、原田はスマホをしまった。
寝室に戻り、敦子のとなりに寝た。
眼があった。

「あっちゃん起きたの、おはよう……」
「おはようって、ここ……」

敦子の視線が室内をさまよう。
憶えてないはずはないだろうから、原田はよけいなことを言わない。

「ふふっ、泊っちゃったんだ……」
「うん、そうだね」
「ヤバっ、まぁいいか……」
「なにが……」
「家に連絡してない、でも桜ン家に泊まるとは言ってるから、まぁいいかなと、それより、今何時……」
「朝の六時過ぎだけど、あっちゃん、昨日家に連絡したよ」
「えっ……」

敦子は原田と眼があうが、すぐ顔を逸らす。
寝起きの顔を見られたくないのだろう。

「ほんとに、憶えてないんだけど……」

原田は敦子が旦那と会話している最中、挿入した。
電話を切った敦子は、おかしくなり漏らして失神した。
それが事実だが、いいだろう。

「あっちゃん、昨日、けっこうのんだからね」
「そうだね……」

これも事実だ。
敦子が憶えてないなら、それでいい。
枕元にあったスマホを原田は敦子に渡す。
敦子は、すぐに。

「あっ、ほんとだ電話してる」

まだ操作をつづける。
原田は、黙って見ている。

「ふふっ、桜から連絡きてた」

いきなり微笑んだ敦子が原田にスマホの画面を見せる。

〔 泥棒ネコ、あんた人妻なんだから、朝帰りはやめなよ 〕

「ふっふふ……」
「ふふっ……」

敦子が返信をする。
原田は覗いているが敦子は隠そうとしない。

〔 もうちょっといっしょにいる。それから、帰してあげる 〕

「ふふっ」
「ふっふふ……」

敦子がスマホを枕元に置き、身を起こし壁にもたれた。
原田もおなじ体勢に。

「ねぇ、昨日知りあったばかりで、なんでこんなことになっちゃたんだろね」
「そうだね」

原田は、ここ最近はいつもそうだ。その状況がつづいている。
逢った日に抱く。
だが、慣れはない。
これからもこんなことがアイドルたちとつづいたらいいとは思う。

「逢った日に、ヤッちゃうのはじめてなのに、なんで、こんなまったり気分って主婦失格だな」
「だよね」
「ふふっ、だよねって、なにそれ」

朝になっても、まだいい雰囲気がつづいていた。
原田は敦子の身体に手をまわす。
敦子が身を寄せて原田の胸に顔を埋める。

「今日は、もう帰るね」
「うん。わかった」

敦子は今日はと。
だから原田は、すぐにあきらめがついた。
あわよくば、その気もちは捨てきれないが。

「シャワーくらいは、浴びさせてよ……」
「もちろんいいよ。あっ、どうせだったら、お風呂はいる……」
「ふふっ、なにいっしょにはいろうとしてるの……」
「まっててね」

原田は全裸でバスルームに行った。
やはり、このままバイバイするのは、ちょっとさびしい。
敦子は人妻だと知っているが、やはりさびしい。




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